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三叉神経痛・顔面痙攣の内視鏡手術|顕微鏡手術との違いを解説
Author :東京頭蓋底・内視鏡センター長 岸田悠吾
三叉神経痛や顔面痙攣に対して手術を勧められたものの「どのような方法で行うのか」「顕微鏡手術と内視鏡手術では何が違うのか」と不安を感じる方もいるのではないでしょうか?
三叉神経痛と顔面痙攣は、顔につながる神経が頭の中で血管などに圧迫・刺激されることで起こります。根本的な治療を目指す場合には、神経に触れている血管を移動させる「微小血管減圧術」が行われます。
この記事では、微小血管減圧術の方法と東京Dタワーホスピタルで行っている内視鏡手術の見え方、顕微鏡手術との違い、術後の経過について解説します。
目次
三叉神経痛・顔面痙攣はなぜ起こる?
三叉神経痛と顔面痙攣は、現れる症状こそ異なりますが、いずれも顔につながる神経が頭の中で血管や腫瘍などに圧迫・刺激されることで起こります。
顔の感覚を担う三叉神経が圧迫されると、顔にビリッと走るような強い痛みが生じます。一方、顔の動きを担う顔面神経が刺激されると、顔へ異常な電気信号が伝わり、自分の意思では止められないぴくつきが現れます。
神経の根元付近に血管が触れ、その刺激が繰り返されることが症状につながるため、根本的な治療では、神経を圧迫している血管を離すことを目指します。
顔面痙攣の症状や原因、受診先については、関連記事で詳しく解説しています。
顔面痙攣はストレスが原因?症状の特徴と何科を受診すべきか解説
三叉神経痛・顔面痙攣の手術「微小血管減圧術」とは
三叉神経痛や顔面痙攣に対して、神経を圧迫している血管を持ち上げ、神経から離れた位置へ移動させる手術を「微小血管減圧術(Microvascular Decompression: MVD)」と呼びます。
血管を移動・固定する方法には、主に次の2つがあります。
- インターポジション(従来の方法):
持ち上げた血管と脳の間に、綿などのクッションを置く方法。
※以前から行われてきた一方、綿が外れたり、神経に癒着して炎症反応を起こしたりする例も報告されています。 - トランスポジション(現在の主流):
神経に触れている血管を別の位置まで移動させ、医療用の糊や綿で(骨などに)固定してしまう方法。
現在は、血管を十分に移動させて神経への圧迫を取り除く、トランスポジションが多く行われています。
神経との接触を解消し、血管からの刺激が伝わらない位置へ移すことが手術の目的です。

顕微鏡手術と内視鏡手術の違い
一般的な顕微鏡下微小血管減圧術では、耳の後ろを切開し、頭蓋骨に2〜3cmほどの穴を開け、そこから顕微鏡で頭の中を観察しながら、神経を圧迫している血管を移動させます。
顕微鏡は、焦点を合わせた部分を詳しく観察できる機器です。ただし、頭の外側から小さな穴を通して深い場所を見るため、手術部位が遠く感じられ、奥へ進むほど死角が生じやすくなります。
顕微鏡手術では、次のような点が課題となることがあります。
- 死角が生じやすい:
頭の外側から深部を覗き込むため、奥に行くほど見えにくい場所が生じます。 - 脳に負担がかかることがある:
見たい場所の手前に組織がある場合は、視野を得るために少し押し分ける操作が必要です。 - 一定の開頭範囲が必要になる:
深い場所へ光を届け、手術に必要な視野を確保するため、ある程度の大きさの穴を頭蓋骨に開けます。
顕微鏡と内視鏡は、どちらも手術部位を見るための機器ですが、視線の届き方や深部の見え方が異なります。内視鏡は、手前の組織に隠れやすい場所まで入り込み、神経と血管の位置関係を直接確かめられる点に強みがあります。
三叉神経痛・顔面痙攣に内視鏡手術を行うメリット
内視鏡手術の大きな利点は、頭の深い場所を明るく鮮明に観察できることです。
神経や血管の近くまでカメラを進められるため、顕微鏡では見えにくい場所や、極めて細い血管まで捉えられます。
主なメリットは次のとおりです。
- 深い場所でも明るく見える:暗くなりやすい深部でも、神経や血管を鮮明に観察できます。
- 死角を減らせる:手前の組織に隠れた場所や、神経の根元付近まで直接見渡せます。
- 脳を押し分ける操作を減らせる:手術部位の近くから観察できるため、視野を得るために脳を大きく避ける操作を抑えられます。
また、必要な視野を小さな開頭部から得られるため、顕微鏡手術に比べて傷口や頭蓋骨に開ける穴も小さく抑えられます。
見た目の傷だけでなく、脳や神経に加わる操作を減らせる点まで含めて、低侵襲な手術といえます。
内視鏡下微小血管減圧術の効果と術後の経過
三叉神経痛や顔面痙攣に対する微小血管減圧術では、痛みや痙攣が消失する割合が一般に85〜95%前後とされています。
ただし、症状の変化が現れる時期は一人ひとり異なります。顔面痙攣では、手術直後からぴくつきが止まる方もいれば、数週間から数か月をかけて徐々に落ち着く方もいます。
また、術後すぐに症状が残っているからといって、その時点で手術の効果がなかったと決まるわけではありません。顔面神経への刺激が解消された後、時間をかけて痙攣が治まっていく経過もあります。
内視鏡を用いることで、傷口や開頭範囲を抑えながら、深部の神経と血管を近くから観察できます。外から見える傷を小さくするだけでなく、頭の中で脳や神経を押し分ける操作を減らすことが、内視鏡下微小血管減圧術の低侵襲性につながっています。
内視鏡手術を支える細かな手術器具
内視鏡下微小血管減圧術では、ハイビジョンカメラを備えた細い内視鏡を頭の中へ入れ、映し出された画像を見ながら操作を進めます。
あわせて使うピンセットや吸引管も、深い場所で細かな操作ができるよう、細長く作られています。器具の先端は0.1〜2mmほどと非常に小さく、細い血管や神経の近くでも精密に扱える形状です。
こうした器具には、次のような性能が求められます。
- 細かな部分を扱える鋭い先端
- 深部へ届く細長い形状
- 操作に適したしなり
- 手術中の使用に耐える強度
これらの器具の一部は、当院の岸田医師が名古屋大学に在籍していた時期に共同開発したものです。福井県鯖江市のメガネフレームメーカーが持つ高度な金属加工技術を応用し、脳神経外科手術に適した形へ仕上げられました。
深部を鮮明に映す内視鏡と、そこで細かな操作を行うための器具が組み合わさることで、神経や血管を見ながら慎重に手術を進めることができます。
東京Dタワーホスピタルで行う三叉神経痛・顔面痙攣の内視鏡手術
東京Dタワーホスピタルの脳神経外科、東京頭蓋底・内視鏡センターでは、三叉神経痛や顔面痙攣に対する内視鏡下微小血管減圧術を行っています。
三叉神経痛による強い顔の痛みや、顔面痙攣によるぴくつきが続いている方、微小血管減圧術について詳しく知りたい方は、ぜひ当院脳神経外科へご相談ください。
顕微鏡手術と内視鏡手術の見え方や、実際に行う操作についても分かりやすくご説明します。
まとめ
三叉神経痛と顔面痙攣は、顔につながる神経が頭の中で血管などに圧迫・刺激されることで起こります。微小血管減圧術は、神経に触れている血管を持ち上げ、離れた位置へ固定することで圧迫を取り除く手術です。
内視鏡下微小血管減圧術について詳しく知りたい方、手術を受けるか迷っている方は、一度東京Dタワーホスピタルの脳神経外科へご相談ください。
当院のYoutubeチャンネルでは、実際の手術動画を使って解説しておりますので、是非ご覧ください。
この記事を書いた人
岸田 悠吾
Yugo Kishida
東京頭蓋底・内視鏡センター:センター長
専門分野:神経内視鏡手術、経鼻頭蓋底手術、微小血管減圧術、低侵襲手術(内視鏡下鍵穴手術)
神経内視鏡手術(経鼻手術、鍵穴手術など)を専門としています。15年以上、1000件を超える神経内視鏡手術の経験の中で、確実に手術目的を達成すること、合併症リスクを最小化することに努めてきました。
「とにかく丁寧で、脳と体に負担の少ない、美しく正確な手術」を心がけています。

