コラム
Column
心臓血管外科
シカゴで開催された米国胸部外科学会(AATS)総会で議論された最新の心臓外科トピックと今後の展望
Author :アドバイザリーボードメンバー ボルト・ゲルサック医学博士
目次
2026年5月2日〜5日に、米国・シカゴのマコーミックプレイスで「米国胸部外科学会(AATS)第106回年次総会」が開催されました。
この学会では、成人心臓外科、構造的心疾患治療、小児先天性心疾患手術、周術期管理、ロボット手術、人工知能(AI)など、心臓血管外科分野の最新技術と将来展望が幅広く議論されました。
学会で注目された主な内容と今後の予測
- 1. 心臓外科は、従来の開胸手術だけでなく、カテーテル治療を組み合わせた「低侵襲・ハイブリッド治療」へと大きく進化しています。
- 2. 特に僧帽弁形成術や冠動脈バイパス術において、ロボット支援手術の普及が急速に進んでいます。
- 3. AI(人工知能)は、術前計画、術後管理、血糖コントロール、患者モニタリングなどに活用され始めています。
- 4. 高齢で複雑な病態を持つ患者に対しては、外科手術と経カテーテル大動脈弁治療(TAVI)を組み合わせた治療法が増えていくと予測されています。
- 5. 急性大動脈解離や大動脈弓部置換術の成績向上は、依然として重要な研究テーマです。
- 6. 心臓手術後の回復を早める「ERAS(術後回復強化プログラム)」が世界的に標準化しつつあり、入院期間短縮や合併症減少に貢献しています。
- 7. 構造的心疾患の治療では、心臓外科医、循環器内科医、麻酔科医などが協力する「ハートチーム」の重要性が改めて強調されました。
- 8. 低侵襲手術であっても、従来手術と同等以上の安全性と長期耐久性を維持する必要があると専門家は指摘しています。
- 9. 小児・先天性心疾患領域では、重症先天性心疾患を持つ子どもの生存率が大きく改善していることが報告されました。
- 10. 再生医療技術を応用した新しい人工弁への期待が高まっており、将来的には従来型人工弁に代わる可能性があります。
- 11. 手術前の3D画像解析やシミュレーション技術が急速に普及し、より精密な手術計画が可能になっています。
- 12. 大量の医療データを活用した「個別化心臓外科医療」が、今後10年で急速に発展すると予測されています。
- 13. 一方で、世界的な心臓外科医不足が深刻な課題として議論されました。
- 14. 医療機器展示では、人工弁、ステントグラフト、弁形成リング、ロボットシステムなどの新技術が多数紹介されました。
- 15. 総合的にみて、今後の心臓外科は「低侵襲化」「AI活用」「ロボット技術」「精密医療」「多職種連携」を中心に発展していくと結論づけられました。
この記事を書いた人
ボルト・ゲルサック医学博士
Borut Gersak, MD, PhD
専門分野 心臓血管外科
スロベニアのUniversity of Ljubljana 医学部の外科教授であり、University Medical Center Ljubljana 心臓血管外科に所属しています。
35年以上にわたり心血管医学の分野で活躍しており、心臓外科のさまざまなテーマについて、500本以上の査読付き論文および学会発表を行っています。
現在は、アメリカ合衆国および日本で特に活発に活動しています。

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