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循環器内科

心房細動とは?原因・治療・アブレーションを専門医が5分で解説

Author :循環器内科 北村 健

「動悸が続く、少し動いただけで息切れがする」
「健康診断で不整脈を指摘された」

このようなきっかけで不安を感じている方も多いのではないでしょうか?
中でも「心房細動」は比較的多くみられる不整脈のひとつで、放置すると脳梗塞(半身不随などになる)、心不全(息苦しくなり入院が必要)などの重大な病気につながることがあります。

この記事では心房細動とはどのような病気なのか、原因や症状、治療の選択肢、そして近年注目されているアブレーション治療について、順を追ってわかりやすく整理していきます。ご自身やご家族の体調に不安を感じている方が、適切な判断をするための参考になれば幸いです。

不整脈専門医 北村 健

心房細動とは?

心房細動は心臓のリズムに異常が生じる「不整脈」の一種です。
まずは基本的な仕組みを解説していきます。

心房細動とはどんな病気か

心房細動とは、心臓の上部にある「心房」と呼ばれる部分が不規則かつ小刻みに震える状態になる病気です。

本来、心臓は一定のリズムで収縮と拡張を繰り返し、全身に血液を送り出しています。

しかし心房細動が起こると、心房がうまく収縮できなくなり、心臓全体の動きも乱れてしまいます。
その結果、脈が速くなったり不規則になったりし、さらには血液の流れにも影響が出ることがあります。

正常な心拍との違い

通常、心拍は心臓の中で発生する電気信号が規則正しく伝わることで保たれています。
この電気信号が整っているからこそ、心臓は一定のリズムで動き続けることができます。

一方、心房細動ではこの電気信号が乱れ、無秩序に発生するようになります。
そのため心房が細かく震え、脈も不規則になります。この「電気信号の乱れ」が心房細動の特徴です。

心房細動の原因と起こりやすい人の特徴

心房細動は1つの原因だけで起こるものではなく、いくつかの要因が重なって発症することが多いとされています。

心房細動の主な原因(電気信号の異常)

心房細動は、心臓の左心房にある「肺静脈」と呼ばれる血管の付近から異常な電気信号が発生することで起こると考えられています。
この異常な刺激が心房全体に広がることで、規則的な収縮が保てなくなります。

その結果、心房が細かく震える状態となり、心拍が速く不規則になるという特徴的な状態が生まれます。

加齢・生活習慣・基礎疾患との関係

心房細動は加齢とともに発症しやすくなることが知られています。年齢を重ねることで心臓の電気的な働きが変化し、異常な信号が起こりやすくなるためです。

また、下記のような要因も関係することがあります。

  • ・高血圧や糖尿病などの生活習慣病
  • ・心臓の病気(弁膜症や心筋症など)
  • ・飲酒や喫煙、ストレス、睡眠不足

これらの要因が重なることで、心房細動の発症リスクが高まると可能性があると考えられています。

心房細動の症状と気づきにくい特徴

心房細動は症状がはっきり出る場合もあれば、ほとんど自覚がないまま進むこともある点に特徴があります。

よくある症状(動悸・息切れ・めまい)

心房細動によって現れる主な症状には、次のようなものがあります。

これらの症状は、脈の乱れによって心臓の働きが不安定になることで生じます。日常生活の中で違和感を覚える場面が増えてきた場合には注意が必要です。

  • ・動悸(どきどきする感じ)
  • ・息切れ
  • ・めまい
  • ・胸の違和感やだるさ

無症状でも注意が必要な理由

一方で、心房細動は自覚症状がないまま進行することもあります。
健康診断の心電図で初めて指摘されるケースも珍しくありません。

症状がないからといって安心できるわけではなく、気づかないうちに病気が進行していることもあります。特に心房細動は重大な合併症につながる可能性があり、放置すると治療できなくなってしまうため、早めに状態を把握することが大切です。

心房細動を放置するとどうなるか

症状が軽い、あるいは自覚がない場合でも、心房細動をそのままにしておくことはおすすめできません。

ここでは、心房細動を放置した場合に起こり得る代表的なリスクをご紹介します。

脳梗塞のリスク

心房細動で特に注意が必要なのが、脳梗塞です。

心房細動が続くと、心房の中で血液の流れが滞りやすくなります。その結果、血のかたまり(血栓)ができることがあります。

この血栓が血流に乗って脳の血管を塞ぐと、脳梗塞を引き起こします。心房細動は、脳梗塞の重要な原因のひとつとされています。

健康診断で心房細動を指摘された場合も、自己判断で様子を見るのではなく、専門医に相談することが大切です。

心不全などの合併症

心房細動では脈が速くなったり、不規則になったりすることで、心臓に負担がかかります。この状態が続くと、心臓のポンプ機能が低下し、心不全につながることがあります。

また、もともと高血圧や弁膜症、心筋症などの心臓病がある方では、心房細動によって心臓への負担がさらに大きくなることがあります。

心房細動は単なる不整脈にとどまらず、全身の健康に影響を及ぼす病気です

カテーテル治療で治療できなくなる 

心房細動は発見早期であればカテーテル治療でよく治りますが、3-5年以上経過してしまうとカテーテル治療でも治らないことが多くなります。

診断された場合には早期の受診が必要です。

心房細動の検査と診断方法

心房細動が疑われる場合には、いくつかの検査を組み合わせて診断を行います。

心電図・ホルター心電図

心電図は、心臓の電気信号を記録する基本的な検査です。心房細動が起こっているタイミングで検査を行えば、不規則な脈の状態を確認できます。

ただし、発作性心房細動のように、症状が出たり治まったりするタイプでは、通常の心電図だけでは異常が見つからないことがあります。その場合には、24時間心電図を記録するホルター心電図を使い、日常生活の中で脈の乱れが起きていないかを確認します。

「動悸があるのに検査では異常なし」と言われた場合でも、発作のタイミングによっては記録されていないだけということもあります。
症状が続く場合は、いつ・どんな場面で起こるのかを医師に伝えるようにしましょう。

さらに、当院では診断の精度を上げるために7日間継続してモニター可能な心電図もご用意しております。またアップルウォッチ外来も行なっていますのでお気軽にお問い合わせください。

心エコー・血液検査など

心房細動の診断では、脈の乱れを確認するだけでなく、心臓の状態や原因となる病気がないかを調べることも大切です。

心エコー検査では心臓の大きさ、動き、弁の状態、血液の流れなどを確認します。心臓弁膜症や心機能の低下が背景にある場合、治療方針にも関わります。

血液検査では甲状腺機能、腎機能、糖尿病などの有無を確認することがあります。
甲状腺の病気や生活習慣病が心房細動に関係している場合もあるため、心臓だけでなく全身を見ながら判断していきます。

心房細動の治療方法|薬とアブレーション

心房細動の治療では、大きく分けて「脈を整える治療」と「脳梗塞を防ぐ治療」を考えます。症状を抑えることだけでなく、将来的な合併症を防ぐことも大切です。

薬物治療(リズム・レートコントロール)

心房細動の薬物治療には「リズムコントロール」と「レートコントロール」という考え方があります。

リズムコントロールは心房細動を止めて正常な脈に戻すことを目指す治療です。ただし薬物による治療はカテーテルアブレーションよりも治りづらいことが知られています。

一方、レートコントロールは心房細動そのものは残っていても、心拍数が速くなりすぎないように調整する治療です。一般的には一時的な治療もしくはリズムコントロールができない場合に選択されます。

どちらを選ぶかは、症状や心臓の状態によって異なります。動悸や息切れが強い方ではリズムを整える治療が検討されることがありますし、心拍数を安定させることで日常生活が楽になる方もいます。医師による患者様に合わせた最適なテーラーメード治療が必要です。

薬は症状の軽減に役立ちますが、効果や副作用には個人差があります。自己判断で中止したり、飲み方を変えたりせず、医師の指示に沿って継続することが大切です。

脳梗塞予防の治療

心房細動の治療で非常に重要なのが、脳梗塞の予防です。
心房細動では心臓の中に血栓ができやすくなるため、必要に応じて血液を固まりにくくする薬を使用します。

この薬は心房細動そのものを止める薬ではありませんが、脳梗塞を防ぐという意味で非常に大切な役割を持っています。

一方で血液を固まりにくくする薬には出血のリスクもあります。そのため、年齢、持病、腎機能、出血リスクなどを確認しながら、患者さんに合った治療を選んでいくことになります。

心房細動のカテーテルアブレーションとは

根本的な改善を目指す場合には、アブレーション治療が検討されます。特に発作性心房細動では、異常な電気信号の発生源に対して治療を行うことで、発作を抑えることが期待されます。

アブレーションとはどんな治療か

カテーテルアブレーションは、細い管(カテーテル)を血管から心臓まで挿入し、異常な電気信号を発している部分を治療します。心房細動の原因となる異常な電気信号が起こりやすい部位を治療し、心房細動が起こりにくい状態を目指します。

カテーテルを使って心臓の内側から行う治療であり、身体への負担を抑えながら治療できる点が特徴です。

アブレーションのメリットと特徴

体に大きな切開を加えずに行えるため、比較的負担が少ない治療とされています。入院期間も比較的短く(3-4日前後)、回復も早い傾向があります。

特に発作性心房細動では、症状の改善や発作回数の減少が期待できる場合があります。

ただし、すべての心房細動に同じように効果が期待できるわけではありません。
心房細動が長く続いている場合や心房が大きくなっている場合、基礎疾患がある場合などでは治療方針を慎重に検討する必要があります。そのためにも心房細動と診断された場合には早期の受診が必要です。

どのような人に検討される治療か

アブレーションは、発作を繰り返して生活に支障がある方、心不全による息切れがある方、心臓の動きが低下している方などで検討されます。

ただし、アブレーションを行うかどうかは症状だけで決められるものではありません。
心電図、心エコー、全身状態、脳梗塞リスクなどを確認しながら、患者さんごとに適した治療を検討します。

どんなときに受診を検討すべきか

心房細動は、早い段階で見つけて適切に対応することが大切です。

一度でも指摘された場合には必ず医療機関を受診しましょう。
症状がある場合はもちろん、健康診断で指摘された場合も放置せずに受診してください。

症状がある場合

動悸、息切れ、胸の違和感、めまい、疲れやすさなどが続く場合は、心房細動を含む不整脈が関係している可能性があります。

特に、脈が急に速くなる、脈が飛ぶように感じる、階段や坂道で息切れが強くなったといった変化がある場合は、早めに循環器内科で相談するとよいでしょう。

症状が一時的に治まる場合でも、発作性心房細動のように繰り返し起こることもあります。

健康診断で指摘された場合

健康診断の心電図で心房細動や不整脈を指摘された場合は、症状がなくても必ず確認が必要です。

心房細動は自覚症状がないまま見つかることもあります。症状がないからといってリスクが低いとは限らず、脳梗塞予防が必要になる場合もあります。

健診結果をそのままにせず、循環器内科で詳しく評価を受けることで、治療が必要か、経過観察でよいか、追加検査が必要かを判断できます。

東京Dタワーホスピタルの循環器内科について

東京Dタワーホスピタルの循環器内科では、心房細動を含むすべての不整脈の診療に対応しています。
動悸や息切れなどの症状がある方、健康診断で不整脈を指摘された方はいつでもお気軽にご相談ください。

必要な検査を行い、現在の状態を確認したうえで、薬物治療やアブレーションを含めた治療方針を検討します。

心房細動の診療体制

心房細動の診療では心電図やホルター心電図、心エコー検査、血液検査などを組み合わせて、脈の状態や心臓の機能を確認します。

そのうえで、症状を抑える治療、脳梗塞を予防する治療、アブレーションの適応などを検討します。心房細動は患者さんによって状態が大きく異なるため、患者様一人ひとりに合わせたテーラーメードの判断が必要です。

また、高血圧や糖尿病、弁膜症、睡眠時無呼吸症候群などが関係している場合には背景にある病気の管理も大切になります。
心房細動だけを見るのではなく、全身の状態を含めて治療方針を考えていきます。

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受診の流れと相談方法

まずはお気軽に外来予約/相談をしてください。

医療スタッフが丁寧に今後の流れをご案内します。受診なされましたら患者様お一人お一人に合わせて、日本・海外での経験豊富な不整脈専門医が症状やこれまでの経過を確認し、適切な検査を提案させていただきます。

そのうえで、現在の状態や治療の選択肢について丁寧に説明します。

気になる症状がある場合や、健康診断で指摘された場合には、まずはご相談からでも大丈夫です。

まとめ

心房細動とは、心房が不規則に震えることで脈が乱れる不整脈の一種です。原因には心臓の電気信号の異常が関係しており、加齢、生活習慣、高血圧や糖尿病などの基礎疾患も発症に関わります。

動悸や息切れなどの症状で気づくこともありますが、無症状のまま健康診断で見つかることもあります。放置すると、心臓の中に血栓ができ、脳梗塞(半身麻痺など)につながるリスクがあるため注意が必要です。

治療には脈を整える薬、心拍数を調整する薬、脳梗塞を予防する薬に加え、カテーテルアブレーションという選択肢もあります。どの治療が適しているかは、症状や心臓の状態、脳梗塞リスクなどによって異なります。

動悸や息切れが気になる方、健康診断で不整脈を指摘された方はぜひ東京Dタワーホスピタルの循環器内科にご相談ください。
患者様お一人お一人に合わせて、日本・海外での経験豊富な不整脈専門医が対応させていただきます。

寶田顕医師解説の「心房細動について」はこちら

この記事を書いた人

北村 健

Takeshi Kitamura

脈の乱れや心房細動でお悩みの方は、ぜひ私たちの扉を叩いてください

2007 札幌医科大学 卒業後、2011 都内基幹病院にて不整脈診療の研鑽を積んだのち、2016 フランス・ボルドー大学 不整脈疾患研究所(LIRYC)へ留学。カテーテルアブレーションの世界的権威の下、最先端技術と新規デバイスの臨床研究に従事。
2018 杏林大学にて医学博士号(PhD)取得し、2026 東京 Dタワーhosupitaru 不整脈センター長 就任。

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