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低線量CTは肺だけの検査?心筋梗塞・狭心症の早期発見にもつながる理由
Author :放射線科 米永健徳
低線量CTは、肺がん検査として広く知られている検査です。胸部を詳細に撮影できるため、小さな異常を見つけやすいという特長があります。
一方で、撮影範囲に心臓や血管も含まれるため、検査の中で心筋梗塞や狭心症につながる心臓血管の変化に気づくケースもあります。
この記事では、低線量CTとはどのような検査かを整理したうえで、心臓血管の病気との関係や検査が果たす役割についてわかりやすく解説します。
目次
低線量CTとは?
低線量CTとは、通常のCTよりも放射線の量を抑えながら撮影を行う検査です。身体への負担に配慮しつつ、内部の構造を立体的に確認できる点が大きな特長です。
胸部を細かく輪切りのように撮影できるため、レントゲンでは見えにくい小さな変化も捉えやすく、検査の精度を高めることにつながります。
短時間で撮影が完了することも多く、検査を受ける側の負担が比較的少ない点もメリットの一つです。
低線量CTは肺がん検査で使われることが多い検査
低線量CTは、主に肺がんの早期発見を目的として用いられています。肺は空気を多く含む臓器であり、CTとの相性が良いため、小さな結節や初期の変化を見つけやすいという特徴があります。
胸部レントゲンでは、心臓や骨などが重なって写るため、小さな異常が隠れてしまうことがあります。これに対してCTは、臓器ごとに分けて確認できるため、より詳細な評価が可能です。
そのため、特に喫煙歴がある方や肺がんのリスクが気になる方にとって、低線量CTは重要な検査の一つとなっています。検査時間も比較的短く、身体への負担を抑えながら胸部の状態を確認できます。
低線量CTで確認できる胸部の情報
低線量CTでは、肺の状態に加えて、胸部に含まれる臓器や血管の情報も得られます。たとえば、肺の結節、肺気腫、間質性肺炎のような肺の変化に加え、大動脈の拡大や石灰化、冠動脈の石灰化が画像上で確認されることがあります。
冠動脈は、心臓に酸素や栄養を送る大切な血管です。これらは検査の主目的ではありませんが、将来的な心臓血管の病気を考えるうえで重要な手がかりになります。
低線量CTで心筋梗塞・狭心症のリスクが見つかることもある
低線量CTは肺がん検査として行われることが多い検査ですが、結果として心臓や血管の異常に気づくことがあります。これは、胸部全体を一度に撮影するCTならではの特徴です。
とくに動脈硬化に関連する変化は、症状が出る前の段階で見つかることもあり、早期の対応につながる可能性があります。
心筋梗塞・狭心症とはどんな病気?
心筋梗塞や狭心症は、心臓に血液を送る「冠動脈」が狭くなったり詰まったりすることで起こる病気です。
冠動脈の内側に動脈硬化が進むと、血液の流れが悪くなります。
狭心症では一時的に血流が不足し、胸の痛みや圧迫感が現れます。さらに進行すると、血管が完全に詰まり、心筋が壊死してしまう状態が心筋梗塞です。
これらの病気は突然発症することもあり、早い段階でリスクに気づくことが重要です。
冠動脈の石灰化が見つかる意味
CT検査では冠動脈に石灰化が見つかることがあります。これは動脈硬化が進んだ結果として現れる変化の一つです。
石灰化そのものがすぐに症状を引き起こすわけではありませんが、動脈硬化が進んでいる可能性を示すサインとして重要です。
このような所見をきっかけに、より詳しい検査や生活習慣の見直しにつながります。
心筋梗塞・狭心症の早期発見にCT検査が役立つ理由
心筋梗塞や狭心症の評価では、症状、心電図、血液検査、心エコー、CTなどを組み合わせて判断します。その中でもCTは、冠動脈の形や狭窄の有無を画像で確認できる点が強みです。
低線量CTで心臓血管の変化が疑われた場合、必要に応じて心臓CTや冠動脈CTを行い、より詳しい検査を行います。
心臓を栄養する冠動脈を画像で確認できる
心臓CTでは、冠動脈の走行や狭窄の有無を画像として確認することができます。どの血管に変化があるのか、血管がどの程度狭くなっているのかを把握できるため、診断や治療方針の検討に役立ちます。
従来はカテーテル検査で確認することが一般的でしたが、CT検査は、心臓血管の病気を早い段階で見つけるための有用な選択肢になります。
カテーテル検査より体への負担が少ない場合がある
冠動脈を調べる方法には、心臓カテーテル検査と冠動脈CTがあります。
心臓カテーテル検査は血管の中に細い管を入れて行う検査で、詳しい評価や治療につながる重要な検査です。
一方、冠動脈CTは体の外から撮影を行うため、カテーテルを血管内に入れずに冠動脈の状態を確認できます。必要に応じて造影剤を使いますが、検査の負担を抑えながら冠動脈を検査できる点が特徴です。
ただし、すべての方にCTが適しているわけではありません。不整脈がある方、腎機能に不安がある方、造影剤に注意が必要な方の場合は検査方法を慎重に選ぶ必要があります。
どの検査を行うかは、症状や全身状態をもとに医師が判断します。
東京Dタワーホスピタルの320列CTとは

東京Dタワーホスピタルでは、320列CTを導入しています。
320列CTは、広い範囲を短時間で撮影できるCT装置で、心臓や血管のように動きのある部位の検査にも活用されます。
短時間で広い範囲を撮影できるCTは、心臓血管の評価において大きな役割を果たします。
320列CTの特徴
320列CTの特徴は、広い範囲を一度に撮影できることです。短い時間で必要な範囲を撮影できるため、検査時の負担軽減につながります。
また、細かい断面画像を得られるため、血管の形や石灰化、狭窄の有無を詳しく確認できます。
肺や大動脈、冠動脈など、胸部の複数の情報を整理するうえでも役立ちます。
心臓血管の検査に320列CTが役立つ理由
心筋梗塞や狭心症の原因となる冠動脈は、細く、常に動いている血管です。そのため、画像検査では短時間で精度よく撮影することが重要になります。
320列CTは広範囲を短時間で撮影できるため、心筋梗塞や狭心症のリスクを把握するうえで役立ちます。
低線量CT・心臓CTを検討した方がよい人
低線量CTや心臓CTは肺がんリスクを確認したい方、心筋梗塞や狭心症のリスクを確認したい方などそれぞれに適した検査があります。
喫煙歴がある方・肺がん検査を考えている方
喫煙歴がある方は、肺がんリスクが高くなるため、低線量CTによる胸部評価を検討する対象になります。胸部レントゲンでは見つけにくい小さな病変を確認しやすく、早期発見につながります。
また、喫煙は肺だけでなく血管にも影響します。動脈硬化を進める要因となるため、肺がん検査をきっかけに心臓血管の状態にも目を向けることが大切です。
低線量CTで冠動脈の石灰化や大動脈の変化が見つかった場合は、動脈硬化の有無を含めて心臓の状態を詳しく確認します。
胸の痛み・息切れ・動悸が気になる方
胸の違和感や息切れ、動悸といった症状がある場合、心臓血管の病気が関係している可能性があります。狭心症では、運動時や階段を上ったときに胸の違和感が出ることがあります。
一方で、症状が典型的ではない方もいます。
胸ではなく肩や背中、あごの違和感として現れることもあります。特に高齢の方や糖尿病のある方では、症状がはっきりしないまま心臓の病気が進むことがあります。
気になる症状が続く場合は、低線量CTだけでなく、心電図や血液検査、心エコー、心臓CTなどを行い、心臓の状態や原因を詳しく調べます。
高血圧・糖尿病・脂質異常症がある方
高血圧、糖尿病、脂質異常症は動脈硬化を進める代表的な要因です。自覚症状がなくても、冠動脈の内側では少しずつ変化が進んでいることがあります。
これらの生活習慣病を持つ方は、心筋梗塞や狭心症のリスクが高くなります。血液検査の数値だけでなく、血管の状態を確認することが予防につながります。
特に複数のリスクが重なっている方、家族に心筋梗塞や狭心症の既往がある方、喫煙歴がある方は、一度心臓血管の検査について医師に相談してみてください。
東京Dタワーホスピタルでの検査・診療のご案内
東京Dタワーホスピタルの心臓血管外科では、心筋梗塞や狭心症の原因となる冠動脈の病気をはじめ、大動脈の病気など幅広い心臓・血管の疾患に対応しています。
診察では、まず症状やこれまでの経過を丁寧に確認し、必要に応じて心電図、血液検査、心エコー、CT検査などを行います。これらの検査を通して、心臓や血管にどのような変化が起きているのかを一つずつ確認していきます。
そのうえで、すぐに治療が必要な状態なのか、経過をみながら対応できるのかを見極め、薬による治療や追加の検査、カテーテル治療・手術など、状況に応じた方針を提案します。
一人ひとりの症状や背景に応じて、検査や治療の進め方を決めていきます。
不安や疑問がある段階でも大丈夫です。気になる症状があれば早めにご相談ください。
まとめ
低線量CTは肺がん検査で用いられることが多い検査ですが、胸部全体を撮影するため、心臓や血管の変化に気づくきっかけになります。
とくに、心筋梗塞や狭心症につながる冠動脈の変化は、早い段階で把握しておくことが重要です。
東京Dタワーホスピタルでは、320列CTを用いた検査により、心臓や血管の状態を詳しく確認できます。
胸の症状がある方や健診で異常を指摘された方は、ぜひ一度心臓血管外科へご相談ください。
この記事を書いた人
米永 健徳
Takenori Yonenaga
専門分野 CT/MRIの画像分析
2000年に佐賀医科大学医学部を卒業後、佐賀医科大学放射線医学講座に所属、2008年より東京慈恵会医科大学 放射線医学講座で研鑽し、2013年には英国・Leeds大学 Chapel Allerton Hospital に留学。その後、2014年に東京慈恵会医科大学大学院博士課程を修了し、 2021年には東京オリンピック・パラリンピックで画像診断医を担当した。
2024年より東京Dタワーホスピタル放射線科に勤務する。

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