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脳神経外科

頭頚部の血管奇形の種類と治療法|拍動性耳鳴りにも有効な血管内治療を紹介

Author :東京Dタワーホスピタル 脳神経外科 新見康成

血管の異常によって生じる血管奇形や心臓の鼓動に合わせて音が聞こえる拍動性耳鳴りは、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
これらの症状は「放置しても大丈夫」と考えられがちですが、実際には進行すると痛みや外見の変化、視力・聴力障害、さらには命に関わる合併症を引き起こすこともあります。

こうした疾患に対して注目されているのが、体への負担を最小限に抑えながら治療を行える血管内治療。
カテーテルを用いて血管の中から直接アプローチすることで、症状の改善だけでなく生活の質(QOL)の向上も期待できます。

今回は血管奇形の種類と治療法、拍動性耳鳴りの原因や血管内治療による治療アプローチについて解説します。

血管奇形とは?種類と症状の特徴

血管奇形とは、血管の形成異常によって生じる疾患で痛みや腫れ、外見の変化、さらには視力・聴力・嚥下・発語など生活機能に影響を及ぼすことがあります。
特に頭頸部の血管奇形は日常生活に大きな支障をきたすため、正しい診断と適切な治療が必要です。

動脈奇形・静脈奇形

動脈奇形は動脈の異常な形成、静脈奇形は静脈の異常によって生じます。
いずれも腫れや痛みを引き起こし、部位によっては顔の形や皮膚の色調に変化をもたらします。動脈奇形は破裂の危険がある場合もあります。

リンパ管奇形

リンパ管奇形はリンパ管の異常によって発生する疾患です。
顔や首に生じることが多く、腫れや不快感だけでなく、見た目の変化による心理的負担も大きな問題となります。

動静脈奇形(AVM)

動静脈奇形(AVM)は動脈と静脈が直接つながる異常で、脳や頭頸部に発生すると深刻なリスクを伴います。
異常な血流によって破裂や出血を招く可能性があり、早期の診断と治療適応の検討が重要です。

血管奇形の治療方法

血管奇形は症状や部位、広がり方によって治療法が異なります。
東京Dタワーホスピタルでは、患者様一人ひとりに合わせた低侵襲の血管内治療を中心に行っています。

塞栓術

動静脈奇形(AVM)に対しては血管内治療である「塞栓術」を行います。カテーテルを用いて異常血管を塞ぐことで、異常な血流を抑え、症状を改善します。

硬化療法

静脈奇形やリンパ管奇形には、直接穿刺による硬化療法が有効です。薬剤を注入して病変を縮小させ、痛みや腫れを軽減します。

薬物療法やレーザー治療との併用

広範囲にわたる難治性の静脈奇形やリンパ管奇形では薬物療法を導入し病変の進行を抑制することもあります。
さらに必要に応じてレーザー治療や外科手術を専門医と連携して行うことで、より良い結果が得られます。

拍動性耳鳴りとは?

耳鳴りは多くの方が経験する症状ですが、心臓の鼓動と一致して聞こえる「拍動性耳鳴り」は血管の異常が原因であることが多く、放置すると重大な障害につながる場合があります。

動脈性耳鳴り

動脈の血流異常が原因となるもので、脳出血や脳梗塞のリスクを伴うケースもあります。
異常が軽度な場合は経過観察に留めることもありますが、精密な診断が欠かせません。

静脈性耳鳴り

脳の静脈の血流異常が原因となるタイプです。
特に硬膜静脈洞の狭窄や閉塞があると、頭痛や視覚障害、さらには失明や神経障害など重篤な合併症につながる可能性があります。

内部リンク:拍動性耳鳴りについて詳しくは『拍動性耳鳴りについて知ろう』をご覧ください。

拍動性耳鳴りの血管内治療法

東京Dタワーホスピタルでは拍動性耳鳴りに対しても血管内治療を用いた低侵襲の治療を提供しています。

塞栓術

動脈性耳鳴りや静脈洞の異常血流に対しては、必要に応じて塞栓術やステント治療をを行い異常な血流を抑制します。
これにより耳鳴りの改善だけでなく、脳梗塞や脳出血のリスクを低減できる場合もあります。

ステント治療

静脈洞の狭窄や閉塞に対しては血管内にステントを挿入して血流を改善します。
欧米では広く行われている治療法で、日本ではまだ普及していませんが、当院では保険外診療として提供しています。

まとめ|血管内治療で生活の質を守る

血管奇形や拍動性耳鳴りは「命に関わらないから」と放置されがちですが、進行すると生活の質を大きく損ね、場合によっては重篤な合併症を招く可能性があります。

低侵襲の血管内治療は体への負担を抑えつつ、安全性と有効性を両立できる治療法です。症状に心当たりがある方や、他院で経過観察を勧められ不安を感じている方も、ぜひ一度専門医にご相談ください。

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この記事を書いた人

新見 康成

Yasunari Niimi

脳神経外科
アドバイザリーボードメンバー


東京医科歯科大学 脳神経外科 研修医・助手
ニューヨーク大学メディカルセンター 放射線科 レジデント
ベスイスラエルメディカルセンター 血管内外科 アテンディング
ルーズベルト病院 血管内外科 アテンディング
アルバートアインシュタイン大学 臨床放射線科・臨床脳神経外科 教授
聖路加国際病院 特別顧問

日本脳神経外科学会認定医   
日本脳神経血管内治療学会指導医・専門医   
米国放射線学会専門医
日本血管腫血管奇形学会評議員

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