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睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?症状・治療・何科を受診すべきかまで解説
「最近、会議中に強い眠気を感じる」
「いびきがひどいと指摘された」
「もしかして睡眠時無呼吸症候群?」と不安に思っていませんか?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は気づかないうちに進行し、日中の集中力低下だけでなく、高血圧や心疾患など全身の健康にも影響を及ぼすことがある疾患です。
この記事では睡眠時無呼吸症候群とは何か、どんな症状があるのか、治療方法までを解説します。
目次
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)とは、睡眠中に呼吸が何度も止まったり、弱くなったりする状態を指します。
呼吸が停止すると体内の酸素が不足し、無意識のうちに呼吸が再開されます。この「止まる→再開する」を一晩中繰り返すことで睡眠の質が大きく低下します。
また睡眠中に起こるため本人が自覚しにくいという問題もあります。実際には1分以上呼吸が止まっているケースもありますが、パートナーや家族に指摘されるまで気づかないことが少なくありません。
なぜ気づきにくい?本人が自覚しにくい理由
睡眠時無呼吸症候群では呼吸が止まるたびに体は酸素不足に陥ります。すると脳が危険を察知し、無意識のうちに覚醒反応を起こして呼吸を再開させます。
しかしこの覚醒は完全に目が覚めるわけではなく、本人の記憶には残らないことがほとんどです。
そのため「夜中に何度も呼吸が止まっている」という事実を自覚できず、日中の眠気やだるさだけが表面化します。結果として「最近疲れているだけ」、「年齢のせい」と自己判断してしまい、受診が遅れることも多くあります。
周囲から「いびきが大きい」「呼吸が止まっている」と言われた経験がある場合は専門医に早めの相談をするようにしましょう。
放置するとどうなる?生活・仕事への影響(眠気・集中力)
睡眠の質が低下すると、日中に強い眠気が起こったり、集中力が低下してしまいます。会議中にうとうとする、運転中にぼんやりする、仕事でミスが増えるといった変化は単なる疲労ではなく睡眠時無呼吸症候群が背景にある可能性もあります。
また、日中の作業効率が低下することで事故リスクが高まることも報告されています。
慢性的な低酸素状態は体に負担をかけ、将来的な生活習慣病や心血管疾患のリスクとも関連が指摘されています。
「眠いだけ」と軽視せず、その背景に睡眠障害が隠れていないかを確認することが大切です。
睡眠時無呼吸症候群の症状(セルフチェックの目安)
ここでは睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状を整理します。夜間の症状と日中の症状に分けて確認すると自分の状態を把握しやすくなります。
睡眠中に起こりやすい症状(いびき・呼吸停止・中途覚醒)
睡眠中の代表的な症状は下記のようなものです。
- 大きく不規則ないびき
- 呼吸が止まっていると指摘される
- 息苦しさで目が覚める
- 夜中に何度も目が覚める
特に「いびきが突然止まり、その後に大きな呼吸音がする」というパターンは無呼吸のサインであることが多いです。
ただし、いびきがある人すべてがSASというわけではありません。継続的で強いいびきや呼吸停止の指摘がある場合は専門医に相談するようにしましょう。
日中に起こりやすい症状(強い眠気・集中力低下・朝の頭痛)
日中の症状としては、強い眠気・集中力低下・朝の頭痛・倦怠感などが挙げられます。
これらは忙しさやストレス、加齢の影響と誤解されやすく「睡眠障害」と結びつけて考えられないことも多い症状です。
しかし、十分な睡眠時間を確保しているにもかかわらず眠気が強い場合は睡眠の質に問題がある可能性があります。
日中のパフォーマンス低下が続く場合は一度専門医に相談することをおすすめします。
痩せていても起こる?なりやすい人の特徴
睡眠時無呼吸症候群は肥満の方に多いとされていますが、痩せている方でも発症することがあります。
顎が小さい方や扁桃が大きい方、首周りの構造的な特徴がある方は気道が狭くなりやすく無呼吸が起こることがあります。閉経後の女性でも発症率が上がることが報告されています。
「体型が標準だから大丈夫」と決めつけず、症状があれば診察を受けてみることをおすすめします。
睡眠時無呼吸症候群の原因とリスク(合併症との関係)
睡眠時無呼吸症候群は単なる睡眠の問題にとどまらず、全身の健康にも関わります。
ここからはなぜ治療が大切なのかを整理します。
なぜリスクが上がる?酸素低下と体への負担
無呼吸が繰り返されると体内の酸素濃度が低下します。
そのたびに体は緊急反応を起こし、心拍数や血圧が変動します。この状態が毎晩続くことで心臓や血管に負担がかかります。
慢性的な低酸素状態や睡眠の分断は自律神経のバランスを乱し、血圧の上昇や炎症反応の増加などを引き起こすと考えられています。
こうした背景からSASと循環器疾患との関連が注目されています。
高血圧・心不全・脳卒中などとの関連
睡眠時無呼吸症候群は高血圧・心不全・脳卒中・虚血性心疾患などとの関連が報告されています。
無治療のまま放置した場合、将来的な心血管イベントのリスクが高まる可能性が指摘されています。
一方で適切な治療を行うことで、眠気の改善だけでなく、こうしたリスクを軽減できる可能性も示されています。循環器疾患をすでにお持ちの方や高血圧治療中の方は睡眠時無呼吸症候群の診察を受けてみるのも良いでしょう。
睡眠時無呼吸症候群は何科?受診先の選び方
「睡眠時無呼吸症候群は何科に行けばよいのか?」と迷う方も多いですよね。ここからは受診先についてご紹介します。
まず相談しやすいのは何科?
一般的には睡眠外来・呼吸器内科・耳鼻咽喉科などが受診先として挙げられます。
また、合併症リスクの評価を含めて考える場合には循環器内科での相談も選択肢に挙げられます。
症状に悩んだら抱え込まずに、まずは相談しやすい医療機関にかかってみましょう。症状や既往歴に応じて適切な科へ紹介されることもあります。
循環器内科で相談した方がよいケース
高血圧・心不全・不整脈・狭心症などの既往がある方は循環器内科での診察が適している場合もあります。
睡眠時無呼吸症候群は心血管系に影響を与えることがあるため、既存の心疾患との関連を総合的に判断することが重要です。
循環器内科では心臓や血管の状態とあわせて睡眠障害の可能性を探ることができます。
睡眠時無呼吸症候群の検査(診断の流れ)
診断は段階的に行われます。
いきなり大がかりな検査をするわけではありません。
簡易検査でわかること(自宅での検査)
まずは小型の機器を用いた簡易検査を行うことが一般的です。
「まずは今の睡眠状態を把握する」ことを目的に、負担の少ない方法で評価します。医師の診察でSASが疑われる場合、この簡易検査によって、睡眠中に呼吸が止まっている(または弱くなっている)可能性がどの程度あるかを確認します。
この検査で中等症以上が疑われる場合には、さらに詳しい評価へ進みます。
精密検査が必要になるのはどんなとき?
簡易検査で異常が認められた場合や、症状が強い場合には精密検査が行われます。
「呼吸が止まる回数」だけでなく、1回の呼吸停止がどれくらい続くか、血中酸素レベルがどの程度下がるか、さらに心拍数や体位(寝る姿勢)による変化なども含めて、総合的に状態を見ていく必要があります。
AHIとは?結果の見方の基本
AHI(無呼吸低呼吸指数)は1時間あたりの呼吸停止・低呼吸の回数を示す指標です。一定以上の場合に治療が推奨されます。
AHIが一定以上(例:20以上)と評価された場合にはCPAP(持続陽圧呼吸療法)が推奨されます。ただし、検査結果は数字だけで決めるものではなく、眠気の強さ、生活への影響、既往症の有無なども含めて判断されます。

睡眠時無呼吸症候群の治療(CPAP・生活改善など)
治療の目的は眠気の改善だけでなく、将来的な合併症リスクを下げることにもあります。
CPAP(持続陽圧呼吸療法)とは?効果と位置づけ
CPAPは睡眠中に装置から空気を送り、気道が塞がりにくい状態を保つ治療です。
SASの治療として広く用いられており、検査で一定以上の重症度(例:AHIが20以上)と評価された場合に推奨されることがあります。
日中の眠気や集中力低下が強い方にとっては「睡眠の質を立て直す」ための中心的な選択肢になることがあります。
軽度〜中等症で検討される治療(体重・体位・マウスピース)
軽度〜中等症の場合は減量・睡眠時の体位の工夫・マウスピースで下顎の位置を調整して気道を開きやすくする方法などが検討されることがあります。
どの治療法が適しているかは重症度や体の状態によって異なります。必ず医師と相談して決めるようにしましょう。


治療を続けるコツ(通院・装置の慣れ・生活の工夫)
治療は継続が大切です。CPAP装置に慣れるまで時間がかかることもありますが、医療スタッフと相談しながら調整できます。
無理をせず、疑問や不安があれば早めに相談することが、長期的な改善につながります。
治療は継続が大切です。
CPAPの場合、最初は違和感があったり、慣れるまでに時間がかかったりする方もいます。ただ医療者と相談しながら調整することで改善できることも多いため、装置の設定やマスクのフィット感、乾燥対策など疑問や不安があれば早めに相談することが、長期的な改善につながります。
東京Dタワーホスピタルでの検査・治療のご案内
SASは睡眠の問題に見えますが低酸素や覚醒反応が繰り返されることで全身に負担がかかり、高血圧、心不全、脳卒中、虚血性心疾患などとの関連が報告されています。
東京Dタワーホスピタルでは、SASについて保険診療での簡易検査・精密検査に対応しており、必要に応じて検査結果を踏まえた治療方針の相談が可能です。
また、人間ドックとしての入口から相談したい方に向けた検査の選択肢もあります。症状がはっきりしない段階でもまずはお気軽にご相談ください。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群とは睡眠中に呼吸が止まることで睡眠の質が低下し、日中の眠気や集中力低下を引き起こす疾患です。症状が軽く見えても、放置すると心血管疾患との関連が指摘されることもあります。
「いびきがひどい」「日中の眠気が続く」といった症状がある場合は自己判断せず、早めに医療機関へ相談することが大切です。何科を受診すべきか迷ったら、循環器内科での相談も一つの選択肢です。
気になる症状がある方はぜひ東京Dタワーホスピタルまでお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
湯澤 靖文
Yasufumi Yuzawa
専門分野 虚血性心疾患 (狭心症、心筋梗塞)、冠動脈インターベンション、末梢血管インターベンション、不整脈、ペースメーカー、心不全
2010年 日本大学医学部卒業後、日本大学医学部付属板橋病院、2013年 心臓血管研究所、2017年 日本大学病院、2022年 東京Dタワーホスピタル 循環器内科勤務。
認定および所属学会:
内科認定医、循環器専門医、日本心血管インターベンション治療学会 認定医、日本経カテーテル心臓弁治療学会 (JTVT) TAVI (SAPIENシリーズ) 実施医・指導医、植込み型除細動器/ペーシングによる心不全治療研修証
臨床研修指導医
日本内科学会、日本循環器学会、日本心血管インターベンション治療学会 (CVIT)、日本経カテーテル心臓弁治療学会 (JTVT)、日本心不全学会、日本冠疾患学会

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