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脳神経外科

顔面痙攣はストレスが原因?症状の特徴と何科を受診すべきか解説

「最近、まぶたがピクピクする」
「片側の顔だけ勝手に動く」
「ストレスのかかったときに、顔のぴくつきが強くなる」

顔の動きについてこうした違和感を感じつつも、病院に行くほどなのか判断がつかず、不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

顔の動きに関する症状は、一時的な軽いものから専門的な治療が必要なケースまで幅があります。

この記事では、顔面がぴくつく「顔面痙攣(がんめんけいれん)」という病気について、原因や、似たような症状がでる他の病気、ストレスとの関係、そして何科を受診すればよいのかなどを、わかりやすく解説していきます。

顔面痙攣とは?

まずは「顔面痙攣」とはどのような症状が出るのか、基本を整理しておきましょう。

顔面痙攣の症状の特徴(片側・持続する・拡がる)

顔面痙攣とは、自分の意思とは関係なく顔がぴくついて、止めることができない病気です。基本的には片側にでるので、「片側顔面痙攣(へんそくがんめんけいれん)」とも言います。


多くの場合、最初は下まぶたなど目の周囲から始まり、次第に頬や口元などにぴくつく範囲が拡がっていきます。

また、数週間~数年にわたってぴくつき発作が持続し、徐々に頻度が増えてきたり、進行すると、連続的なぴくつきによって片側の顔が引きつれてしまったりすることがあります。

顔面の痛みや、麻痺が出るわけではありません(その場合は別の病気を調べます)。

顔面痙攣では、人と話していても自分の意思と関係なくぴくつきがでてしまうため、対人関係にネガティブになりがちで、仕事にも支障をきたしやすくなります。

顔面痙攣そのものは命にかかわる病気ではありませんが、社会生活への影響が大きく、人生の質がさがりやすい病気だと言えます。

「まぶたのピクピク(眼瞼ミオキミア)」や「眼瞼(がんけん)痙攣」との違い

顔面痙攣と似た症状をきたす病気についても、解説していきます。

多くの人が経験する「まぶたのピクピク」は、疲労や睡眠不足、眼精疲労、ストレスなどがきっかけで起こることが多く、「眼瞼ミオキミア」と呼ばれます。ぴくつきの程度も軽く、基本的には、数日から数週間で自然に治まります。

一方、両目が閉じてしまってうまく開けられない、ドライアイのようなゴロゴロ感やまぶしさを伴う、といった場合には、「眼瞼(がんけん)けいれん」が疑われます。中年の、特に女性に多い疾患で、進行すると眼が開けられず日常生活に支障をきたします。

顔面痙攣でも、初期にはまぶたの周辺だけに症状が出るので、これらの病気と勘違いされることがあります。

顔面痙攣では基本的に片側だけにでること、眼瞼ミオキミアよりも長く続くこと、進行すると頬などにもぴくつきが拡がること、などが違いです。

もちろん無理に自己判断せず、「ほおっておいていいのだろうか」など、不安を感じるときにはご相談いただければと思います。

放置しても大丈夫?受診の目安

まぶたの周囲だけが、軽くぴくつく程度であれば、まずは「眼瞼ミオキミア」を疑います。前項で解説したように数日から数週間で改善しますので、まずはゆっくり休んで、様子をみていただいてよいと考えます。

ご相談いただいたほうがよいのは、

  • まぶただけでなく、頬や口元もぴくつく
  • 数週間以上続いている
  • 症状の頻度が増えている
  • 日常生活に支障を感じている

といった方です。

顔面痙攣そのものは、がんのように、受診が遅れたから手遅れになる、という病気ではありません。しかし、「接客中にまた顔がぴくついたらどうしよう」「今度の同窓会、みんなに変に思われそう」といった不安や諦めが積み重なると、生活の質がさがってしまいます。

日常生活で困る場面があるのであれば、一度ご相談いただくのがよいと思います。

顔面痙攣の原因|本当の原因はストレスではなく、頭の中にある! 

ストレスがかかると顔のぴくつきがひどくなることがありますので、「顔面痙攣の原因はストレス」「生活が落ち着けばよくなるはず」と思っている方もおられますが、それは正確ではありません。

顔面痙攣の原因 

顔面痙攣は、顔面神経(顔の動きをつかさどる神経)が、脳から分かれた根もとのあたりで圧迫や刺激を受けることで起こります。

多くの場合は、まがりくねった血管が神経の根もとや脳幹部に当たり、ドクッドクッという拍動性の刺激を繰り返すことで引き起こされます。圧迫刺激によって神経を守るカバーが壊れ、顔面神経に異常な電気信号が生じて、顔に、間違った運動の指令が送られてしまうのです。

腫瘍や静脈などが原因となることもありますが、似たような原因で起きる三叉神経痛(顔に激しい痛みが出る病気)に比べると少なく、ほとんどは動脈による圧迫が原因です。

つまり、顔面痙攣を根本的に治療するためには、この神経への圧迫を解除する必要があるということです。

顔面痙攣と、ストレスの関係

上に述べたように、顔面痙攣の根本的な原因は、あたまの中での顔面神経への圧迫・刺激です。

一方で、仕事が忙しい時期や精神的に緊張している場面で症状が目立つ、という方が多くおられるのも事実です。

ストレスや情緒的な不安は、顔面痙攣の直接的な原因ではないものの、症状を強く感じさせたり、悪化させたりする要因として関与します。根本的な治療にはなりませんが、気持ちを安定させ心身のリラックスを図ることは、症状悪化の引き金を減らすという意味では有用と考えられます。

睡眠不足・カフェイン・アルコールなどとの関連は? 

疲労や睡眠不足も、症状が強くでる要素になる可能性があります。ストレスや不安と同じく、科学的な根拠にもとづく治療というよりは、症状の悪化因子を減らすための経験的なアドバイスとして、患者さんにお伝えしています。

カフェインやアルコール、特定の食物については、関連を示唆する報告もあるものの、十分な科学的裏づけは乏しいです。患者さんの主観に基づいて、摂取によって悪化すると感じるのであれば避けていただいています。

顔面痙攣は何科?迷ったときの受診先ガイド

実際に「顔面痙攣かも…?」と感じたら何科に受診すれば良いのでしょうか?
ここでは迷った時の受診先について解説していきます。

何科に相談すればいいの?

ポイントは、ぴくつくのが片側のまぶたなのか両まぶたなのか、目だけでなく頬などもぴくつくのか、ドライアイなど目の症状を伴うのか、です。

前述のように、両目が閉じるような動きや、ドライアイなど目の症状を伴う場合は「眼瞼(がんけん)痙攣」の可能性があります。まず眼科にご相談いただくのがよいでしょう。

片方のまぶただけのぴくつきであれば、「眼瞼ミオキミア」や「初期の顔面痙攣」の可能性があります。軽ければ少し様子をみて、改善せずに続くようであれば脳神経外科、脳神経内科、眼科などが相談先になります。

症状が片側で、まぶた以外に頬などもぴくつく、強いぴくつきが数週間以上持続するなどの場合、「顔面痙攣」が疑われます。ボトックス注射、服薬、手術などの治療選択肢について、メリット・デメリットを含めて詳細な説明を聞かれるべきですので、脳神経外科にご相談ください。

病院で行う検査と診断の流れ

顔面痙攣が疑われる場合、どのような診療を行うのでしょうか。

ここでは一般的な流れを紹介します。

問診で確認されること(症状の出方・生活背景)

まずは、症状の整理から始まります。。

  • いつから始まり、どれくらい続いているのか(持続期間)
  • 片側か、両側か
  • ぴくつく部位(まぶた、頬など)
  • 頻度(毎日/週に数回など)
  • 広がりがあるのか(目の周り→口元など)
  • 悪化しやすい条件はあるか(環境・体調など)
  • 日常のどのような場面で困るのか

これらの情報は、診断のてがかりとなるだけでなく、その患者さんの生活の質を取り戻すためにどの治療が最適か、といった判断の材料にもなります。

検査 

顔面痙攣を疑う場合、まず行われる画像検査はMRIです。細かいスライスで脳幹周囲の精細な画像を撮影し、顔面神経と、血管の状態を正しく把握することが重要です。

顔面痙攣の治療

顔面痙攣の治療方針は、症状の強さや生活への影響、患者さんの希望などを踏まえて検討されます。

経過観察、薬物治療、ボトックス🄬注射、手術があります。

経過観察・生活調整で様子を見る場合

症状が軽く日常生活への影響が小さい場合や、各治療について説明をしたあとに患者さんが積極的な治療を希望されない場合は、そのまま経過観察することも可能です。顔面痙攣は、治療を遅らせても生命に直接関わるような病気ではないからです。

ストレスや睡眠不足など生活要因があれば改善したり、高血圧に対する降圧治療をしたりしながら様子をみていただき、生活で困る場面が増えてきたら、改めて相談していただければよいと考えます。

症状を和らげる治療

症状を和らげる治療として、薬の内服やボトックス🄬注射があります。

ただ、三叉神経痛(顔面の痛みが出る病気)とは違い、顔面痙攣では内服薬の効果は乏しく、効いても効果が限定的なため、内服治療はあまり行われません。

症状を和らげる治療の中心となるのは、ボトックス🄬注射です。

ボトックス🄬はボツリヌス菌が作るA型ボツリヌス毒素を製剤化したもので、毒素による筋弛緩作用を利用して、痙攣する筋肉を緩めようとする治療です。希釈したボトックス🄬をまぶたなどに少量ずつ注射して、症状の軽減をはかります。

手術に比べて全身的な負担が小さいというメリットがありますが、効果は3-5か月程度で切れてきますので、繰り返して行う必要があります。

合併症として注射部位の皮下出血や、筋肉のゆるみすぎ(眼瞼下垂、閉眼障害による角膜潰瘍、鼻涙管麻痺、複視、表情の左右差など)がありますが、前述のように薬の効果は数か月で切れますので、筋弛緩作用による合併症は待っていればいずれは改善されます。

根本的に治す治療

顔面痙攣は、あたまのなかで血管が顔面神経を圧迫することで起こりますので、手術によって神経の圧迫を取り除くことにより、完治が期待できます。「微小血管減圧術」と呼ばれる手術です。

手術のメリットは、症状の改善率が高いこと(≧90%)、そして、継続的な治療が不要になることです。長期的には再発する方もおられますが、多くの方では一度の治療によって治癒に至ります。

手術のデメリットは、体にかかる負担と、手術合併症です。

現在は麻酔管理が発達し、手術時間も短く出血量が少ないため比較的体の負担が少ない手術なのですが、心肺機能が悪い方や基礎疾患の多い高齢者などでは、リスクを考えて他の治療を優先することがあります。大小合わせて合併症率は数%程度とされますが、その後の生活に支障をきたすような重篤な合併症は稀です。術中神経モニタリングなど、合併症率を下げるための手法を併用するのが基本です。

また当院では、内視鏡下に手術を行うことによって、侵襲性や合併症率のさらなる低下に取り組んでいます(「内視鏡下微小血管減圧術)といいます)。

治療を検討するときは、「効果」「合併症」「通院頻度・入院期間」「治療後の経過」などを確認しておくと、納得して選びやすくなります。

東京Dタワーホスピタルの脳神経外科

東京Dタワーホスピタルの脳神経外科では、顔面痙攣の治療経験を多く積んだ医師が診療にあたり、患者さんとともに、希望に沿った治療方針を検討していきます。

気になる症状がある方、セカンドオピニオンとして意見を聞かれたい方を含め、ご希望があればいつでもご相談ください。

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まとめ

顔面痙攣の根本的な原因は、あたまの中の血管等による、顔面神経の圧迫です。

ストレスや情緒的不安、睡眠不足などは直接原因ではないものの、症状の出やすさや強さに影響することがありますので、増悪因子を避ける意味で、十分な休養とリラクゼーションは有用です。
顔面痙攣は、痛みや麻痺などがないため長期間受診せずに様子を見られがちですが、生活の質の低下につながりうる病気です。

日常生活で不自由を感じるのであれば、病気の詳細や治療について、一度脳神経外科で説明を聞いてみることをお勧めします。
受診をご希望の方は、外来予約からお手続きいただけます。

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この記事を書いた人

岸田 悠吾

Yugo Kishida

東京頭蓋底・内視鏡センター:センター長

専門分野:神経内視鏡手術、経鼻頭蓋底手術、微小血管減圧術、低侵襲手術(内視鏡下鍵穴手術)

神経内視鏡手術(経鼻手術、鍵穴手術など)を専門としています。15年以上、1000件を超える神経内視鏡手術の経験の中で、確実に手術目的を達成すること、合併症リスクを最小化することに努めてきました。
「とにかく丁寧で、脳と体に負担の少ない、美しく正確な手術」を心がけています。

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