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拍動性耳鳴りとは?原因や診察・治療の流れを脳神経外科医が解説

Author :脳神経外科 新見康成

耳鳴りは、実際には音がしていないのに聞こえる現象です。拍動性耳鳴りはその中でも珍しいタイプで、心臓の鼓動と同じリズムで音が聞こえます。日本ではデータが少ないですが、アメリカでは人口の約10%が何らかの耳鳴りを経験していると言われています。

拍動性耳鳴りには、動脈や静脈の血流が関係しているものなど、さまざまな原因があります。なかには詳しい検査が必要な病気が隠れている場合もあるため、原因を調べることが重要です。
この記事では、拍動性耳鳴りの主な原因と診察・治療の流れについて解説します。


拍動性耳鳴りの原因

拍動性耳鳴りの原因は、大きく分けて動脈性静脈性その他の原因不明のものの3つに分類できます。

1. 動脈性耳鳴り

動脈性耳鳴りは、心臓の拍動に合わせて「ヒュンヒュン」や「ザッザッ」と聞こえる特徴があります。聴診器を当てると、第三者にも聞こえることが多いです。主な原因として以下のようなものがあります。治療がいらない場合もありますが、脳梗塞や脳出血などの原因となる重篤な病気の場合もありますので、専門家を受診してよく調べてもらう必要があります。



動脈狭窄(血管の細くなる異常)

血管が狭くなり、血流が乱れることで異常な音が発生します。例えば、動脈硬化による頸動脈狭窄症や頸動脈の解離では、脳への血流が低下し、脳梗塞のリスクが高まることがあります。

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動脈瘤(血管の一部が膨らむ異常)

血流の乱れによる拍動が耳鳴りとして認識されます。脳動脈瘤ではあまりおこりませんが、頸部に動脈瘤がある場合は拍動性耳鳴りが起こることがあります。破裂すると危険なため、早期発見が重要です。

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動静脈ろう(動脈と静脈の異常なつながり)

本来、動脈と静脈は毛細血管を介して接続されていますが、直接つながってしまうことで血流が異常に速くなり、拍動性の耳鳴りを引き起こします。脳出血や脳梗塞の原因になることもあります。

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高心拍状態(心臓の拍出量が増加)

貧血、甲状腺機能亢進症、妊娠などで心臓の拍出量が増えると、血管の流れが強まり、拍動性耳鳴りが現れることがあります。


その他

脳への動脈の走行異常や血管の豊富な腫瘍でも動脈性耳鳴りが聞こえることがあります。


2. 静脈性耳鳴り

静脈性耳鳴りは「ボアンボアン」や「シャーシャー」という比較的低い音として聞こえます。聴診器では第三者には聞こえないことが多いので従来原因不明とされていましたが、最近の研究で静脈の異常が原因で耳鳴りおこることがわかってきました。音を認知する聴覚器官は、耳の奥の頭蓋骨の中にありますが、そこに近接して、脳の静脈血を心臓に戻すための静脈洞があります。その静脈洞に異常があると静脈洞内の血液に乱流が起こり、骨を伝わって聴覚器に拍動性に聞こえます。静脈性の耳鳴りの原因は以下のようなものがあり、治療ができる場合もできない場合もあります。また、下の2番目に挙げた脳圧が上がる状況以外では、脳梗塞や脳出血など重大なことが起こるリスクは動脈性耳鳴りほど高くはありませんが、耳鳴りがひどくて日常生活に支障が出るような場合は、治療できるかどうかを専門家に調べてもらうことが重要です。




静脈洞狭窄(脳から心臓に戻る静脈の通り道が狭くなる)

頭蓋骨内の静脈洞で血流が乱れることで、拍動性耳鳴りが生じます。ある研究では動脈性のものも含めた拍動性耳鳴り全体の約3分の1が静脈洞狭窄によるものだったと報告されています。

【血管内治療:注釈】

①ステント:金属をばね状に形成した医療器具で血管の狭窄部分にいれて血管を拡張させる目的でカテーテル治療に使用する。

②コイル:金属(通常プラチナ)の糸に3次元形状記憶を持たせた医療器具で、動脈瘤閉塞の目的でカテーテル治療で使用する。



特発性頭蓋内圧亢進症(脳の圧力が上昇)

静脈洞の異常が両側にあることにより、脳から心臓へ血液が戻りにくくなると、脳の静脈内圧が上がり、頭痛や視力、視野障害を伴うことがあります。この症状は30~40代の太り気味の女性に多くみられます。これは静脈性耳鳴りを伴う場合と伴わない場合があります。


その他

静脈洞の走行の異常や静脈洞憩室(静脈洞の壁が一部膨らんでいる)場合も、
血流が不規則になり、拍動が耳鳴りとして認識されます。また、頭蓋骨の一部が薄くなり、静脈の拍動が骨を通じて耳に伝わることもあります。


3. その他の原因不明の耳鳴り

検査を行っても明確な原因が分からないケースもあります。報告によると、拍動性耳鳴り全体の25~50%は原因不明とされています。この場合は、耳鳴りそのものに対してではなく生活習慣をかえたり、理学療法、薬物など補助的な治療法が検討されます。

拍動性耳鳴りはいつ受診した方がよい?

拍動性耳鳴りには、治療を必要としない場合がある一方で、脳梗塞や脳出血などにつながる病気が原因となっていることもあります。また、静脈性耳鳴りでは重大な病気につながるリスクが動脈性耳鳴りほど高くない場合でも、耳鳴りが強く日常生活に支障が出ている場合には、治療できるかどうかを調べることが必要です。

特に、これまで聞こえていなかった拍動性耳鳴りが突然現れた場合には、専門医による詳しい検査が勧められます。拍動性耳鳴りの原因は一つではないため、症状だけで判断せず、原因を確認するために専門医へ相談してください。


拍動性耳鳴りの診察と治療の流れ

拍動性耳鳴りの原因を診断する際は、以下の流れで進めます。

拍動性耳鳴りでお悩みの方は東京Dタワーホスピタルへ

拍動性耳鳴りは、原因によって治療の必要性や対応が異なります。
なかには脳梗塞や脳出血などにつながる病気が原因となっている場合もあるため、これまで聞こえていなかった拍動性耳鳴りが突然現れた方や、耳鳴りが続いて日常生活に支障を感じている方は、そのままにせず専門医へご相談ください。

東京Dタワーホスピタルでは、拍動性耳鳴りクリニックを開設しています。
「この耳鳴りを受診してよいのだろうか」「原因を詳しく調べたい」と迷っている方も、ぜひ当院へご相談ください。

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まとめ

拍動性耳鳴りには、動脈や静脈の異常など、さまざまな原因があります。
原因によっては脳卒中や失明につながるおそれがある一方、治療が必要ない場合や、検査をしても明確な原因がわからない場合もあります。

そのため、拍動性耳鳴りが聞こえるからといって原因を一つに決めつけることはできません。特に、これまで聞こえていなかった拍動性耳鳴りが突然現れた場合や、耳鳴りによって日常生活に支障が出ている場合には、専門医による詳しい検査が勧められます。原因が明らかになることで、治療を検討できる場合もあります。

「この耳鳴りを受診した方がよいのだろうか」「原因を詳しく調べたい」と迷っている方は、ぜひ東京Dタワーホスピタルへご相談ください。

当院では、拍動性耳鳴りクリニックを開設しています。

この記事を書いた人

新見 康成

Yasunari Niimi

脳神経外科 血管内治療センター長

東京医科歯科大学 脳神経外科 研修医・助手
ニューヨーク大学メディカルセンター 放射線科 レジデント
ベスイスラエルメディカルセンター 血管内外科 アテンディング
ルーズベルト病院 血管内外科 アテンディング
アルバートアインシュタイン大学 臨床放射線科・臨床脳神経外科 教授
聖路加国際病院 特別顧問

日本脳神経外科学会認定医   
日本脳神経血管内治療学会指導医・専門医   
米国放射線学会専門医
日本血管腫血管奇形学会評議員

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