コラム

Column

脳神経外科

脳神経外科の血管内治療について|東京Dタワーホスピタル

Author :東京Dタワーホスピタル 脳神経外科 新見康成

はじめに

はじめまして、脳神経外科の新見康成です。

私はニューヨークで世界的な脳血管内治療の専門医のもとで研鑽を積み、帰国後は聖路加国際病院で脳神経血管内治療の責任者を務めました。

このたび、東京Dタワーホスピタルで診療を開始いたします。

患者様お一人おひとりに最適な治療法を選び、安全性と有効性のバランスを考えた低侵襲治療を提供することを信条としています。以下に、当院で提供する脳血管内治療についてご説明します。

① 脳血管内治療一般:低侵襲で安全な治療を提供

脳血管内治療は血管の中からカテーテルを使って体の負担を最小限に抑えながら異常血管を治療する方法です。
動脈瘤や頸動脈狭窄をはじめ、脳の動脈狭窄、脳や硬膜の動静脈奇形、動静脈ろうなどの治療を行います。この治療法のメリットは、傷をほとんど残さず、短い入院期間で済むことで体への負担が少なく、回復が早いのが特徴です。

脳動脈瘤:破裂のリスクを事前に予防

脳動脈瘤は脳内の血管にできる風船状のふくらみで、日本人の約2~6%が持っているとされています。特に40代以降の方に多く発生し、家族性のものもあります。

動脈瘤破裂のリスク

年間約1%の確率で破裂するとされており、破裂するとくも膜下出血を引き起こし、命に関わる危険な状態となることがあります。

破裂のリスクを高める要因

  • 動脈瘤のサイズ(特に7mm以上)
  • 形が不規則
  • 喫煙・高血圧・家族歴
  • 高齢(70歳以上)・女性

治療方法の選択

早期発見と適切な治療が予防のために重要です。治療方法には開頭クリッピング術と血管内治療の2種類があり、CT・MRI・カテーテル血管撮影などを用いて患者様ごとに最適な方法を判断します。

血管内治療の具体的手法

  • コイル塞栓術:金属製のコイルを用いて、動脈瘤の内部を塞ぎます。
  • フローダイバーター治療:特殊なステントで血流をコントロールし、動脈瘤を縮小させます。

東京Dタワーホスピタルでは患者様一人ひとりに適切な治療法を提案し、安全性と有効性を考慮した低侵襲治療を提供いたします。

頸動脈狭窄:脳梗塞を防ぐために

頸動脈は脳に血液を送る重要な血管ですが、動脈硬化が進むと狭くなり、脳梗塞のリスクが高まります。特に症状がない場合でも、狭窄が高度な場合や、MRI・エコー検査で進行が見られる場合は、早めの治療が必要です。

主な治療法

  • 内膜剥離術:外科的に動脈の内膜を剥がすことで血流を改善します。
  • ステント治療:狭窄部にステントを挿入し、血管を広げて血流を確保します。

どちらの治療が適しているかは、患者様ごとに慎重に診断し、最良の選択肢をご提案いたします。
東京Dタワーホスピタルでは体への負担が少ない血管内治療を積極的に取り入れ、安心して治療を受けられる環境を整えています。

その他の血管疾患への対応

その他の血管の疾患もCTやMRIで精査して治療が必要かどうかを判断し、必要な場合は血管内治療で適切に治療できるか、別の方法で治療すべきかを判断します。
治療せずに経過観察をした方がよい場合もあります。

② 血管奇形:低侵襲で症状の改善と生活の質(QOL)が向上する治療

血管奇形は、血管の形成異常によって生じる疾患で、機能的障害や痛みを伴う場合があります。
特に頭頚部の血管奇形は、顔の形や色調の変化、視力・聴力・嚥下・発語などに影響を及ぼすことがあり、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。

血管奇形の種類

血管奇形には以下の種類があります。

  • 動脈奇形:動脈の異常な形成によるもの
  • 静脈奇形:静脈の異常によって生じるもの
  • リンパ管奇形:リンパ管の異常によるもの
  • 動静脈奇形(AVM):動脈と静脈が直接つながる異常

血管奇形の治療法

東京Dタワーホスピタルでは患者様の症状に合わせた低侵襲治療を提供いたします。

  • 動静脈奇形(AVM):血管内塞栓術を用いて異常な血流を抑制し、症状を改善します。
  • 静脈奇形・リンパ管奇形:直接穿刺による硬化療法で病変を縮小し、痛みや腫れを軽減します。
  • 広範囲の難治性静脈奇形・リンパ管奇形:薬物療法を導入し、病変の進行を抑制します。必要に応じて手術療法やレーザー治療の専門医と連携し、最適な治療を提供いたします。

血管奇形の治療は、個々の患者様の状態に応じた精密な診断が重要です。
当院では患者様の生活の質(QOL)を最大限に考慮した治療を行います。

耳鳴り:精密検査による原因の特定と専門的な治療

耳鳴りは多くの方が経験する症状ですが、特に拍動性耳鳴りは放置すると重大な障害を起こす危険のあるものもあり、治療できるケースがあるため、専門的な診断が重要です。

拍動性耳鳴りとは

拍動性耳鳴りは心臓の鼓動と一致した周期で音が聞こえる状態で、以下の2種類に分けられます。

動脈性耳鳴り

異常な動脈の血流が原因。放置しても問題ない場合もありますが、脳出血や脳梗塞のリスクがある場合もあるため、専門医の精密検査が必要です。
例:硬膜動静脈ろう(脳を覆う硬膜内で動脈と静脈が直接つながる状態)

静脈性耳鳴り

脳の静脈血流の異常が関与している耳鳴り。
脳の血液を心臓へ戻す硬膜静脈洞の閉塞・狭窄や形状の異常で拍動性耳鳴りや頭痛が生じることがあります。このような状況で脳の血液を心臓に戻す別のルートが存在しない場合は、失明や脳障などの重大な障害が起こる可能性もあります。

拍動性耳鳴りの治療方法

患者様の症状と精密検査の結果をもとに、適切な治療法を選択します。

  • ・血管内治療による塞栓術(動脈性耳鳴りと静脈洞の形状異常の場合):異常な血流を抑制し、拍動性耳鳴りを改善し、脳出血や脳梗塞のリスクを取り除きます。

  • ・血管内ステント治療(硬膜静脈洞の閉塞・狭窄の場合):血流の改善を図ることで症状の緩和を目指します。

  • ・欧米では広く行われている静脈洞の狭窄や閉塞に対するステント治療や静脈洞の形状異常に対する塞栓術。日本ではまだ普及していませんが、当院では保険外診療として提供しております。

まとめ

以上、東京Dタワーホスピタルで提供する血管内治療についてご紹介しました。当院は患者様の健康を第一に考え、先端技術と最新設備を駆使して質の高い脳神経血管内治療を提供しています。気になる症状や治療について安心してご相談いただけるセカンドオピニオン外来も行っています。血管内治療に関するご相談や診療予約は受付までお気軽にお問い合わせください。

私たち専門チームが、あなたの健康と安全を最優先に、最良の医療サービスを提供いたします。皆様のご来院を心よりお待ちしております。

この記事を書いた人

新見 康成

Yasunari Niimi

脳神経外科
アドバイザリーボードメンバー


東京医科歯科大学 脳神経外科 研修医・助手
ニューヨーク大学メディカルセンター 放射線科 レジデント
ベスイスラエルメディカルセンター 血管内外科 アテンディング
ルーズベルト病院 血管内外科 アテンディング
アルバートアインシュタイン大学 臨床放射線科・臨床脳神経外科 教授
聖路加国際病院 特別顧問

日本脳神経外科学会認定医   
日本脳神経血管内治療学会指導医・専門医   
米国放射線学会専門医

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